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このほど市民グループ“スパウザ小田原買いとりを考える会”が発表した
「“スパウザ小田原”買いとり問題の取り組みの総括と
今後の活動について」をご紹介します

“スパウザ小田原”買いとり問題の取り組みの
総括と今後の活動について


                   2003年12月10日
              “スパウザ小田原”買いとりを考える会


 昨年12月、小田原市は突如“スパウザ小田原”を買いとり運営を民間委託したいと発表した。政府の行政改革の一貫として、雇用保険を財源として455億円の建設費をかけてつくられたこの施設が、開業5年を経ずしてわずか8億円余で叩き売られることになり、それを受けての小田原市の対応であった。
 私たちは、この売りと買いに大きな疑問を持たざるを得なかった。2月に市民グループ「“スパウザ小田原”買いとりを考える会」を結成、今日までさまざまな活動を展開してきた。特に、私たちが行った市民アンケートで66%の人が「買いとりに反対」であることが判ったことから、「“スパウザ小田原”買いとり中止を求める請願書」を市議会に提出したが、残念ながら9月議会で否決されるとともに、買いとり予算が議決され、買いとりは確定されるに至った。
 ここに、これまでの活動を総括し、今後の対応について明らかにしたい。

1.会の結成からシンポジウムの開催へ

 2月に会を結成するとともに、小田原駅頭で2回、のぼりを立てゼッケンを着け宣伝行動を展開。『スパウザ小田原は大赤字の施設』『買い取り、是か非か、みんなで論議を!』のチラシを配布。3月16日には小田原市民会館でシンポジウム「“スパウザ小田原”買いとり是か非か」を開催。テレビディレクターの前田正樹氏の特別講演の後、尾崎紀昭小田原市商店街連合会長ら3人によるパネルディスカッションが行われた。市民110名が参加、賛成、反対、老人施設への転用案など様々な意見がだされ、市民の関心の高さが示され、シンポジウムは成功裡に終った。

2.市長への公開質問状提出
  全国でこの種の施設の叩き売りがマスコミで問題に


 この間、地方紙やタウン紙がこの問題を報道。市民の関心は次第に高まりを見せ始めた。ところが小田原市は民間業者への公募を開始、業者の現地見学会を開くなど、まだ議会に予算を提出していないのに、買いとりの既成事実積み上げにかかってきた。
 そこで会は4月、シンポジウムでだされた疑問や既成事実の積上げに対し、小田原市長に7項目の公開質問状を提出したのである。この提出を地方紙や神奈川新聞、タウン紙が注目し報道した。また、32名の市議候補にアンケートで対応を質したが、回答を寄せたのはわずか6名であった。市民に大きな関心を巻き起こしているこの問題に、今後市政にかかわろうとする26名の候補者が回答を回避したことは、政治姿勢が問われることである。
 さらにこの間マスコミで、全国の各施設の投売り実態の報道により国民の怒りが高まり、中野サンプラザ、広島サンプラザの買いとりが決まらないなどの状況も明らかになっていった。

3.市民アンケートの実施から
  買いとり中止を求める請願書提出へ


 公開質問状への回答は、15日の猶予を与えたが指定した期限を8日延ばされた。この8日間に市議選があり、その意図は選挙の争点隠しであることは明瞭であった。その回答も、質問にまともに答えず、買いとりの市民へのメリットは示されず、なぜ買い取とりかの説明を市広報へ掲載することや、市民と市長のホット懇談会♀J催の求めにも無回答であった。回答は総じて抽象的表現に終始し不誠実なものであった。
 このように市長が、「買いとり先にありき」と言わんばかりの姿勢を示したことに対し、会は、市民の真の意向を把握するため市民アンケートの実施を決めた。アンケートは往復ハガキに3択方式で回答を求めるもので、1,200名を有権者名簿で無作為抽出し5月2日に発送された。
 5月下旬締め切られたアンケートは、360通の回答(回答率30%)が寄せられ、記入意見は168通(回答数の46.6%)の多きに達した。集計の結果、スパウザの経営や施設の維持管理に7割の人が心配し、買いとりに3人に2人が反対であることが明かになった。会ではこの市民の意思を代弁し、市長に「“スパウザ小田原”買いとり中止を求める要請書」、市議会に「“スパウザ小田原”買い取り中止を求める請願書」を5月29日に提出するとともに、記者発表を行った。翌日の新聞各紙はいっせいにこのことを報道、多くの市民の知るところとなった。公開質問状、アンケート結果、議会への請願書などの内容は、2回にわたりシンポジウム参加者に郵送され、問題の進展について周知された。

4.請願書審議とスパウザ小田原問題調査特別委員会の開催
  ヒルトン社の選定


 6月議会において請願書の審議がはじまり、会員は傍聴につめかけたが、市から議会に買いとり予算が提出されていないこともあって、結論を出せず継続審議となった。しかしこの間、スパウザ買いとり問題は市民の大きな関心事となった。それは、これまでの会の数々の取り組みとそれを伝えるマスコミの報道、テレビや新聞、週刊誌などのスパウザ特集、これらによって市民の関心は一層高まっていった。一方、小田原市は議会を無視して既定方針のごとく委託業者の選定作業に突き進んで行った。
 こうした事態を受けて議会内にも状況の変化が起こり、各会派の総意でスパウザ調査特別委員会が設置されたに至った。特別委員会は、7〜8月に集中的に開かれ、市側の出席を求めての審議、東京・中野サンプラザへの現地調査などが行われた。この審議の中で、市側が議会を軽視し、市民に説明責任を果たしていないことが問題となり、市側がこうした対応を改めなければ委員会としても厳しい対応をせざるを得ないという、やや緊迫した雰囲気の場面も生まれた。そして特別委員会の総意として市民向けに説明会を開くよう市側に要望がなされた。8回の委員会がもたれた後、結論を留保した賛否両論併記の報告がなされた。この間、市は委託業社をヒルトン社に選定したと発表。これに対し市民から「なぜ外資系か」との疑問がだされた。

5.関心高く市民説明会に330人
  賛否両論活発にたたかわす

 「売上の諸台帳はウソの数字」“スパウザ小田原”元職員から告発状が届く
     だが請願書は否決され、買いとり予算は賛成多数で可決に


 9月9〜10日に開かれた市民説明会は、あわせて330人が出席、この問題への関心の高さが示された。市の説明に対し賛否両論が活発に交わされたが、賛成意見には片浦地域や自治会等の関係者が多くみられた。反対意見を述べた人の中には、会のメンバーが知らない人がかなりいた、などが特徴的であった。あれだけ市民説明会を開くよう要請したのに耳をかさなかった市当局に説明会を開かせたのは、会を中心に様々な取り組みが行われた結果であると考える。
 この説明会に向けて、「市民説明会にて読み上げて下さいませ」との、“スパウザ小田原”の元職員からの告発文が届けられた。その内容は別紙の通りである。これまで当会に、「収支決算書はウソの作文だ」「官僚や幹部がくると1本100万円のワインが開けられ、ドンチャン騒ぎのタダ食いタダ飲みだ」「リベートの巻き上げで、出入り業者がヒィーヒィー云っている」との断片的な情報が寄せられてきたが、この告発文はこうした事を裏付ける内容となった。2つの説明会でこの告発文が読み上げられたことは云うまでもない。
 しかし、12日の議会・総務民生常任委員会で請願は賛成少数で否決された。18日の本会議は取材のテレビカメラが並ぶ中、請願の賛否に対し全ての会派が態度を表明するという異例の論議となったが、否決多数で私たちと市民の願いは葬り去られた(請願賛成の議員は6名)。しかし、カメラが並び、全会派が発言するという異例の状況を生み出させたことは、私たちの運動の結果であり、大きな意味をもつと考える。

6.今後も“スパウザ小田原”買いとりを考える会を存続
  一層の監視強化をすすめる


 8カ月におよぶ会の濃密な活動によって、“スパウザ小田原”問題は市民の大きな関心を呼び起こし、市議会の動きにも一定の変化をもたらすことができた。これだけやれば、それなりの変化を作ることができるとの確信を会員はつかむことができたと考える。
 残念ながら買いとりを止めさせることはできなかったが、アンケートによって、市民の多くがこの買い物を望んでいなかったとの確たる数字をつかむことができたのは収穫であった。また、とり組みを通じて数々の問題点、今後予測される問題点を掘り下げてつかむことができたと考える。
 問題はこれからである。果たして小田原市はこの巨大施設を維持管理できるのか、市費の持ち出しはないのか。ヒルトン社は年間の家賃4億3千万円を生みだし黒字経営できるのか。お手上げして5年後に投げ出すことはないのか。ウソの収支報告をもとに引き受けたとして採算が合わずヒルトンが市に損害賠償の訴訟を起こす事はないのか。今後どのような不測の事態が起きるかわからない問題を内包している。私たちはこの会を引き続き存続し、いっそうの監視を強め、問題が発生した場合には即行動していきたいと考える。
                                 以上

      “スパウザ小田原”買いとりを考える会  代表 金子あそみ