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2005年1月号外
   

本当に いいのでしょうか?

市立保育園の運営を民間委託して


 小田原市の12月議会に、上府中保育園の「民間委託実施を延期してほしい」という陳情書が提出されました。
 日本共産党の田中議員が、この問題で一般質問。答弁をふくめ、小田原市の「最初に民間委託ありき」という態度は、行政のあり方としていいのでしょうか。
 わかる範囲で事実をお知らせし、保育や保育園の問題をみんなで考えるように呼びかけます。


◆まず上府中保育園の運営を民間委託、
  やがて全市に広げる構想


●市には8つの市立保育園がありますが、今年は上府中保育園を民間委託し、「順次委託化 を進める」ものです。
●これは「行政改革の一環」で、推進できれば経費削減や「人材を他の福祉部門で活用」で きるとしています。

◆今年4月実施 ! 余りにも唐突な

●この問題の推進委員会が発足したのが昨年6月。上府中保育園保護者への説明会は11月。 説明によれば、今年4月実施予定。利用者無視といわれても当然です。

上府中保育園保護者会の
アンケート結果(一部)


「運営委託について、どう思われますか」
 ・運営委託、市の手続きに賛成 …………………1件
 ・運営委託賛成、市の手続きに反対 ……………9件
 ・運営委託に反対 ………………………………24件
 ・その他 …………………………………………17件
 ・未提出、未記入 ………………………………28件

「職員の説明に、納得・理解できましたか」
 ・納得・理解できた ………………………………2件
 ・納得・理解できない …………………………40件
 ・その他 ……………………………………………8件
 ・未提出、未記入 ………………………………29件


(11/22の説明会後、11/24に実施した結果。会長名で保護者に配布し、小田原市議会への陳情書にも添付されました)

アンケートに寄せられた保護者の切実な声
これをいかすのが行政の仕事です


・先生方の入れ替えや方針の変更など、やっと慣れてきた子ども たちには可哀想。親から見ても、信頼してきた先生方が突然い なくなるのは、どうしても納得がいかない。
・委託のプラス面ばかり言うけれど、具体的には延長保育の一点 しかあがらず、それなら今のままで充分だと思う。
・財政難のしわ寄せが、保育園に向くのは納得できない。赤字の 補填なら、もっと別の所で。



田園の中に建つ上府中保育園



小田原市にある8つの市立保育園
園 名 定員 保育士(臨時) 開設 改築 面積(u) 構 造 敷地
下曽我保育園 90 13.5(10) S29 S59 2,862 鉄筋2階 借地
曽我保育園 45 7.0( 4) S29 H 9 1,053 軽鉄平屋  
上府中保育園 90 13.5(10) S32 H 2 2,271 鉄筋2階 借地
豊川保育園 60 12.0( 8) S32 S62 1,873 鉄筋2階  
江之浦保育園 45 4.0( 2) S29 S29 565 木造平屋 借地
早川保育園 120 15.5(10) S32 S32 1,353 鉄筋2階  
桜井保育園 120 22.5(13) S35 S35 1,463 鉄筋2階  
城山乳児園 60 12.5( 6) S49 S49 2,055 鉄筋4階  



上府中保育園の民間委託問題

小田原市は計画の日程を白紙に

日本共産党小田原市議団の見解

 この問題について、日本共産党議員団の
現時点の「見解」は次の通りです。


1.保護者・保育士・地域の声を受け止め、
  日程を白紙に戻すべき 


 上府中保育園保護者のアンケートや保護者の声、小田原市のこれまでの経緯などを調査しました。
 その結果、次のことを確認しました。@市の進め方は性急であり、強引である。A論議をする時間をつくるべきである。したがって、「上府中保育園」を民間委託モデル園にし、それを今年4月に実施することを危惧する。Bこの計画の日程を白紙に戻し、小田原市は保護者・保育士の方々と十分に話し合い、理解と納得を得るべきだと考えます。

2.民間委託は保育の質の低下や
  子どもへのしわ寄せが…


 市は市立保育所の民間委託の目的を、サービスの充実、効率化、弾力化だとしています。その説明には十分な根拠がありません。
 保育のサービスとは「延長保育」や「乳児保育」など、利用者の様々なニーズに応えることですが、本市の現状は公立と民間が「連携」して対応しています。特に民間活力導入の必要性はありません。
 効率化とは、主に保育士の人件費削減をいっています。勤続年数の長いことは、経験の豊かさを意味します。人件費の削減は、豊かな経験を持つ保育士の削減になりかねず、保育の質の低下につながります。
 弾力化とは、定員をこえて園児を受け入れることのようです。しかし部屋が狭くなるなど子どもたちへの負担になります。保育室の拡充や新たな保育所建設などを考えるべきです。
 以上の点から、委託の目的に十分な根拠は見当たりません。

3.他の都市の例では、
  すでに問題が生じています 


 いくつかの自治体では、民間委託によってすでに問題がおきています。
 保育サービスの縮小、職員の雇用、経費、保育士の入れ替わり、保育の質の低下などです。これらの例をしっかり調べていくことが必要です。

横浜市 社会福祉法人に委託。委託先が経費や保育士の配置に苦慮。保育の質の低下も。
横須賀市 株式会社に委託。1年契約の保育士が早々と退職し、園児への影響が心配されている。
三鷹市 株式会社に委託。園長をふくめ全員が1年契約の職員に。保育士の身分が不安定に。

4.市立保育所の充実は、
  行政が責任を持つべき


 市内の8つの市立保育園は、それぞれ地域の強い要望に応えて設置されてきました。上府中保育園は、設置当時、専業農家などから強い要望があり、現在まで地域の保育を支えてきました。
 江之浦保育園は、交通の便や老朽化、入所園児の減少などの問題があるものの地域にはなくてはならない施設です。
 城山乳児園は、小田原駅の近くにあり、耐震性に問題のある建物ですが、働く父母にとっては貴重な存在です。
 保育と保育施設の必要は、ますます強まっています。いま行政に求められていることは、老朽化した建物や備品などの改善はもちろん、より安心して保育ができ、そのサービスが受けられる環境整備に力を尽くすことです。


運営委託事業の推進委員会の開催状況

第1回(04年6月3日)目的、経緯、現況、スケジュール
第2回(04年7月1日)公立保育園の視察(民間2園も)
第3回(04年7月29日)委員のアンケート結果、
               委託対象保育所
第4回(04年8月30日)委託対象保育所の候補、
               委託内容
第5回(04年10月8日)説明会概要、委託先選定、
               委託内容、報告書
第6回(04年11月11日)報告書(案)について