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132号(2004年11月発行)
【目 次】
9月議会・日本共産党3議員の一般質問

市民の声を受けとめ
市長はボートピア誘致反対の
声明をすべきではないか

田中利恵子議員

小田原市の地震対策など求める

関野隆司議員
「年金改革法」白紙撤回を求めよ
原田敏司議員
競艇の場外舟券売場(ボートピア)
市民の批判の高まりに誘致を断念

お城通り地区再開発事業計画
急がれる市民的論議

   

小田原市9月議会一般質問

市民の声を受けとめ

市長は


ボートピア誘致反対の

声明をすべきではないか


田中利恵子議員

 9月議会で田中りえ子議員は、始めにボートピア設置計画地にあたる周辺商店街や住民の声を取り上げ、「駅前の一等地をギャンブル施設としないでほしい」「この機会に小田原のまちづくりを真剣に考えるべきだ」など、率直な声を示しました。またボートピア設置計画に反対のすてきな小田原をめざす100人委員会、三の丸小学校や城山中学校PTAの運動により、集めた署名の数が近年では大きなものであることを強調。更に市民満足度調査では、市民が求めているのは自営業への支援であり、若い人への夢や希望がもてるまちづくり、子育てしやすい施策の充実、子供たちの声に応えることのできる学校教育であるとし、この際「駅前をどうするのか」など市民の声を十二分に聞き取り、市政に生かすことが大切ではないかと迫りました。質問に先駆け視察したボートピア姫路、ボートピア神戸新開地にも触れ、ボートピアによる商業の発展など望めそうにない。次代を担う子どもたちの未来に、ギャンブルは相容れないとし、市長に市民の声を受け入れて反対の表明をすべきと質しました。

 競艇事業は売り上げ半減

 ボートピアは撤退のところも


 次に問題を抱える競艇事業そのものやボートピアについて市長の見解を求めました。競輪・競馬・競艇など公営競技全体の売上高のピークは平成3年度のバブル時、平成13年度との比較では58%程度にも減少。毎年度競技場をいくつか閉めざるを得ない状況にあり、競艇は競艇事業から一般会計への繰り出しができない施工者がかなり増え、平成3年度と平成13年度比較では売り上げが半減していることを明らかにしました。ボートピアはすでに経営が赤字に転落し、撤退の所もあるなどを指摘。北海道のボートピア釧路の実例を示しました。またボートピア誘致などをめぐり、暴力事件のあった埼玉県嵐山町や他の贈収賄事件にも触れ、問題点を更に明らかにしました。次にボートピア設置要件の一つに地元自治会の同意とあるが、一自治会だけの問題ではなく本市においては市政推進に重要な位置にあることや市民の最大関心事にもなってきている。説明会の開催や適切な状況報告を設置計画地にあたる地元住民の域を超えて市民に説明会、状況報告など行なっていくべきであり、自治体本来のイニシアチブを充分に発揮すべきと質しました。

 これに対し議会や市民の皆様の多様な意見を見極めオール小田原としてどう考えるか慎重に対応。競艇事業についてはその売り上げは減少するなど厳しい経営状況にあるものと認識をしていると答弁しました。

 田中議員はこの他に小中学校の冷暖房整備について質問し、全小中学校の教室にストーブ・クーラーの設置をすべきと求めました。


小田原市9月議会一般質問

小田原市の地震対策

など求める


関野隆司議員


 関野議員は小田原市の地震対策について質問。今迄も一貫して求めてきたが、一層強めなければならないとして、@現時点で神縄・国府津松田断層の調査結果はどのようになっているのか。調査を国・県に求めるべき。A国府津松田断層の調査の未確定と相まって動いたらどうなるのか、被害想定を明らかにしていくべき。B公共建築物の耐震診断と耐震補強工事を促進し、計画は前倒して進めるべきと質問。
 市長は平成13年度から15年度にかけて行なわれた県の調査では、断層の最新活動が650年から900年前で、平均活動間隔が1000年から1100年、断層の変位量が3・0mから3・3mで、地震規模のマグニチュードは7・5であるとした。
 この結果は平成9年の国の結果と異なっている。今回の調査でこの断層が数百年内で活動する可能性が高いことが推定されるとした。
 県は、この調査結果を国に報告し調査の再評価を仰ぐとしている。県は被害想定の見直しなど行なっていく予定であると聞いている。地震に対する調査研究を引き続き国・県に要望していきたい。
 耐震補強工事は今年小学校の校舎一棟、屋内運動場三棟と保育園舎一棟の工事が完了し、小学校の校舎一棟が実施中。その他の公共建築物は計画的、効率的に推進すると答弁。
 関野議員は再質問で公共施設の耐震補強工事を総合計画の基本計画に位置付けるべきと求めました。。

お城通り地区再開発事業の

市の財政負担は?


 次に関野議員はお城通り地区再開発事業について質問。
 事業計画として収入、一般会計28億円、保留床等処分金101億円 計129億円と非常に大きな計画である。小田原市の財政負担はどうなるのかと質問。

 市長等の答弁では、これ迄にコンサルタント業務委託料は約1億3千百万円の支出をしている。本市の用地取得費は約41億1千百万円である。土地開発公社の用地を今買い取るとすると約30億円となる。本市の補助金は約7億円と見込んでいると答弁。関野議員は再開発費用がかかるこの事業は取り止めるべきと主張。


小田原市9議会一般質問

生活・福祉関連の

公共事業を増やし

入札制度の

改善・地元業者支援

を求める


原田敏司議員


《透明・公正な入札制度に》

 原田敏司議員は、市に談合情報が寄せられ入札を延期し実施したとのマスコミ報道を取り上げ、市内業者への発注を評価しつつも短時間で十分な調査が出来たとは思えない、このような情報が寄せられた時の対応マニュアルを改善すべきと指摘しました。

 また透明で公正な入札を行なうためには、インターネットによる電子入札の導入や工事費内訳書の提出を義務付けるなど入札の質を高めることが必要。東京都が実施に踏み切った予定価格の事前公表や、入札価格だけでなく業者の技術力も判定基準に組み入れる総合評価落札方式なども研究し、本市の入札制度の抜本的な改革を求めました。

《大型事業優先で地元発注激減》

 さらに、このような問題が起きる背景には不況で中小業者の仕事が激減し危機にさらされていること。小田原市の入札による公共工事も大きく減少し、平成11年度総額115億8千万円あったものが、平成15年度は58億8千万円に半減している。他方この間委託工事の小田原駅東西自由連絡通路には152億円も費やし、大型開発優先になっていると指摘。小、中学校の老朽校舎の改修など市民生活にかかわりの深い公共工事を増やし、地元の中小業者の支援と地域経済の振興を図るべきではないかと迫りました。

 市長は、市民の生活や経済活動の基盤整備を行なう公共工事において市民の疑惑を招くようなことがあってはならず、入札制度をより高度なものにしていく必要がある。談合情報対応マニュアルの見直しを含め、入札制度全般について入札契約制度検討委員会において検討していく。また、本市は市内業者が施行可能なものは市内業者に発注することを基本としており、今後もJV方式や分離分割方式を進め、可能な限り市内業者への発注機会を増やすよう努めたい、と答弁しました。

川東地域の交通渋滞緩和のために

「宣言」に基づく街づくりの推進を


 次に原田議員は、大型店の乱立により深刻な交通渋滞が発生している川東南部地域にこれ以上大型店、レジャー施設等はつくらせないという趣旨で、昨年十一月に小田原市が発した「地域の安心、安全を守る都市づくりの宣言」に関し質問。今回アマダ工場跡地への大型ホームセンター進出を阻止できなかったが、全国では大型店の進出を粘り強く取り組み阻止した例や、「まちづくり条例」で規制しているところもあり、本市も「宣言」の精神にのっとり取り組みを強めるべきではないかと質しました。

 市長は、市民が安心・安全に暮らせる快適な都市環境の実現にむけ引き続き取り組むと答弁しました。


競艇の場外舟券売場

(ボートピア)

市民の批判の高まりに

誘致を断念



 9月議会を前に、小田原駅東口駅前の商業ビルに競艇の場外舟券売場「ボートピア」を誘致する計画が浮上しましたが、これに対し急速に市民の反対運動が盛り上がり、九月議会には市民団体や近隣の小中学校のPTAなどからボートピア誘致計画の中止を求める陳情が約2万4千名もの署名を添えて提出されました。日本共産党小田原市義団は、大森猛前衆議院議員らとともに地元商店街や市民団体と意見を交流するなど調査を進めました。こうした運動の高まりに商業ビルのオーナーは9月16日、誘致を断念すると市に申し入れました。公営といえどもギャンブル施設の誘致は好ましくありません。これを機に市は市民と協同し中心市街地の活性化に全力を尽くすべきです。

小田原駅東口駅前商業ビル


お城通り地区

再開発事業計画

急がれる市民的論議


 市議会の「小田原駅周辺問題調査特別委員会」に「小田原駅東口お城通り地区市街地再開発事行計画」が出され、各階の具体的構想が示されました。

全体事業費
支出 工事費 125億円
事業費 2億円
借入金 2億円
合計 129億円
収入 一般会計補助金 28億円
保留床等処分金 101億円
合計 129億円


 本事業の最大の地権者は市、土地開発公社(土地保有率80%)です。(図を参照)

 今後市が土地開発公社の地区を買い取るのに約30億円かかります。また事業費129億円のうち補助金およそ7億円。保留床処分金101億円のうち公共施設が入ります。また保留床が売れ残った場合、自治体が買い取る例が全国にはあります。小田原市の多額の税金を投入する大型事業です。このような大型開発は問題で、緊急に市民的討議が必要となってきています。

従前土地権利状況



権利変換後土地権利状況